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ケネディ暗殺後、わずか98分で大統領に就任、人種差別撤廃を目指して公民権法、投票権法を成立させ、アメリカ史上最も多才な大統領の1人として評されたリンドン・べインズ・ジョンソン(LBJ)。しかし退任前はベトナム戦争を継続させた事で抗議にさらされ、その功績は歴史に埋もれていた     
議員時代には、持ち前の政治的手腕で精力的に活動していたジョンソンだが、同じ民主党上院議員だったジョン・F・ケネディの陰に隠れ、国民から認められないでいた。北東部のエリート議員ケネディと、南部の成り上がりジョンソン。2人は、「JFK対LBJ」として1960年の大統領予備選から比較されるようになり、その対比はケネディが第35代アメリカ大統領に、ジョンソンが副大統領に就任した時に如実に現れることとなる。華やかさと人を惹きつけるカリスマ性を持った大統領を前に、ジョンソンは国政の主力から外れていく     
1963年11月22日12時30分、ケネディ暗殺。突如として第36代アメリカ大統領に就任したジョンソンは、のしかかるプレッシャーを跳ね除け、先々の不安をどのようにして解決したのか?ケネディの集めた閣僚たち、その精鋭集団の中心になり、国民をどう説得したのだろうか     
ジョンソン大統領の知られざる新たな一面に焦点をあてたのは、『スタンド・バイ・ミー』、『ミザリー』、『最高の人生の見つけ方』で、多くのファンを持つ巨匠ロブ・ライナー監督。脚本を読み、「ベトナム戦争を推し進めた事で国民から嫌われた大統領」というジョンソンのイメージが覆されたライナーは、予期せぬ悲劇によって大統領に就任したジョンソンの苦悩する姿を、その驚くべき政治的力量と、抱えていた不安の両方で捉え、スクリーンに描きだした。 ジョンソン大統領を演じるのは、『スリー・ビルボード』の名演が記憶に新しいウディ・ハレルソン。ジョンソン本人の話し方や仕草を完璧にマスターし、アカデミー賞を3度受賞した特殊メイクの手によってジョンソン大統領その者に変身を遂げた。
ジョンソンを献身的に支える妻レディ・バードに、『ヘイトフル・エイト』のジェニファー・ジェイソン・リー。他、『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされたリチャード・ジェンキンスなど、ハリウッドの確かな演技力を持つ役者陣が揃った。
1960年の大統領予備選挙に民主党候補として名乗りを上げたリンドン・B・ジョンソン(ウディ・ハレルソン)だったが、若きライバルのジョン・F・ケネディ(ジェフリー・ドノヴァン)に敗北。ケネディの申し出により、副大統領候補になることに同意したジョンソンだったが、就任後、自分が国政の蚊帳の外に置かれていることに気付く。1963年11月22日、ケネディが暗殺され、ジョンソンは第36代アメリカ大統領に就任する。
国民がケネディの死を嘆くなか、ジョンソンはケネディの意志を尊重して公民権法を支持。すると司法長官のロバート・F・ケネディ(マイケル・スタール=デヴィッド)や、師弟関係にあるジョージア州の上院議員リチャード・ラッセル(リチャード・ジェンキンス)と争うことになる     
ハレルソンが人々の心をつかんだのは、長年続いたコメディ「チアーズ」(82~93)にアンサンブル・キャストとして出演した時だった。人当たりの良いバーテンダー、ウッディ・ボイド役を演じたハレルソンは、1989年にエミー賞を受賞し、その後8年間で4つの賞にノミネートされた。「チアーズ」のスピンオフ作品、「そりゃないぜ!? フレイジャー」(93~96)にゲスト出演した際にもいくつかの賞にノミネートされた。その後、オリヴァー・ストーン監督の大傑作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(94)で、大量殺人鬼のミッキーを演じ絶賛された。
ハレルソンが初めてアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされたのは、1996年に公開されたミロス・フォアマン監督の『ラリー・フリント』だった。議論の的になった雑誌を創刊した男、ラリー・フリントを演じ、その演技が絶賛された。2009年の『メッセンジャー』では、イラク戦争で戦死した米軍兵士の訃報を遺族に伝える兵士役で、助演男優賞にノミネートされ、ベルリン国際映画祭をはじめ、数々の映画祭で賞を受賞した。また、ハリウッドで最も成功しているシリーズのひとつ、『ハンガー・ゲーム』(12~15)にも出演。ジェイ・ローチ監督のテレビ映画『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』(12)や、テレビドラマ「トゥルー・ディテクティブ」(14、15)シリーズでは、エミー賞の主演男優賞にノミネートされた。
近年の出演作に、スリラー作品『トリプル9 裏切りのコード』(15)、シリーズものでは『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(16)、『スリー・ビルボード』、『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(17)がある。
その他の出演作に、『ドク・ハリウッド』(91)、『心の指紋』(96)、『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(97)、『シン・レッド・ライン』(98)、『ハイロー・カントリー』(98)、『エドtv』(99)、『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(04)、『スタンドアップ』(05)、『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(06)、『スキャナー・ダークリー』(06)、『ノーカントリー』(07)、『ゾンビランド』(09)、『2012』(09)『ステイ・フレンズ』(11)、『セブン・サイコパス』(12)、『ファーナス/訣別の朝』(13)など。
最新作は、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)、ロブ・ライナー監督の最新作でイラク侵攻における大量破壊兵器の存在を問うジャーナリスト達の実話『Shock and Awe(原題)』。
ドノヴァンは、その多才さと人目を引く存在感で有名である。演劇界でも映画界でも、素晴らしい演技で多くの人に知られるようになった。最も有名な役は長期に渡って放送されたテレビドラマ「バーン・ノーティス」(07~13)シリーズの元CIAスパイ、マイケル・ウェスティン役。ドノヴァンは、USAネットワークのテレビ映画「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲: サム・アックス 最後のミッション」(11)で監督、製作総指揮を手がけ、自身もウェスティン役で出演した。
近年の出演作に、数々の賞を受賞した大ヒットテレビドラマ「FARGO/ファーゴ2」、映画は『ボーダーライン』(15)、『ブラッド・スローン』(17)がある。
その他の出演作は、『スリーパーズ』(96)、『ブレアウィッチ2』(00)、『チェンジリング』(08)、『J・エドガー』(11)など。
マイケル・スタール=デヴィッドの初主演作であり、彼の一番有名な作品は、J・J・エイブラムス製作のモンスター映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08)。近年の出演作に、『コングレス未来学会議』(13)、『イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち』(14)、『時を超えたクリスマス』、テレビドラマ「HERO 野望の代償」(15)など。
リーが初めてテレビで重要な役を演じたのは、『The Best Little Girl in the World(原題)』(81・未)の拒食症のヒロインだった。役を演じるにあたって、39㎏まで減量して撮影に臨んだ。徹底的にリサーチして役になりきるメソッド演技法は、リーの演技の特徴で、人気女優としての地位を確立した後も、役になりきって日記を綴るなど、その人物の心の奥深くまでじっくり理解してから撮影に入っている。
エイミー・ヘッカリングの傑作『初体験/リッジモント・ハイ』(82)では、フィービー・ケイツの友達で性的な事に興味津々な女の子を演じた事で注目を浴びた。その後、リーは、闇を抱えた難しい役を演じる事で評価されていた。ウーリー・エデル監督の『ブルックリン最終出口』(89)では二人のスティーヴンと共演した(スティーヴン・ラングとスティーヴン・ボールドウィン)。前科者の役を演じるボールドウィンの売春婦の彼女役がリーだった。この作品の力強い演技で、ニューヨーク映画批評家協会賞・助演女優賞を受賞した。
その後、ロバート・アルトマン監督の『ショート・カッツ』(93)では、テレフォンセックスの仕事で生計を立てる女性の役が絶賛され、アンサンブル・キャストのうちの一人として、ヴェネツィア国際映画祭で女優賞を受賞した。
また、ウール・グロスバード監督の『ジョージア』(95)での、悲しみと怒りを抱えた若いミュージシャン役で、ニューヨーク映画批評家協会賞にて女優賞を受賞した。
近年の出演作に、『脳内ニューヨーク』(08)、『ヘイト・フルエイト』(15)、『グッド・タイム』(17)などがある。
その他の出演作に、『未来は今』(94)、『カンザス・シティ』(96)、『シークレット/嵐の夜に』(97)、『イグジステンズ』(99)など。最新作はNetflix製作のロマンティックコメディ『Someone Great(原題)』。
ジェンキンスは、ローレンス・カスダン監督『シルバラード』(85)で映画デビューした。トム・マッカーシー監督の『扉をたたく人』(07)での演技が絶賛され、アカデミー賞®主演男優賞にノミネートされた。また、ナショナル・ボード・オブ・レビューでスポットライト賞を受賞した。
ジェンキンスは、2005年の『迷い婚 -すべての迷える女性たちへ-』でロブ・ライナー監督の作品に出演している。また、クリント・イーストウッド監督作『目撃』(97)や、ファレリー兄弟の『ふたりの男とひとりの女』(00)などの作品に出演した。
その他の出演作に、『ハンナとその姉妹』(86)、『イーストウィックの魔女たち』(87)、『リトル・ニキータ』(88)、『ウルフ』(94)、『アメリカの災難』(96)、『バーバー』(01)、『スタンドアップ』(05)、『バーン・アフター・リーディング』(08)、『モールス』『食べて、祈って、恋をして』(10)、『キャビン』『ステイ・フレンズ』(11)、『アウトロー』『ジャッキー・コーガン』『ランナウェイ/逃亡者』(12)、『ホワイトハウス・ダウン』(13)など。
また、テレビドラマでは、HBOのミニシリーズ「オリーヴ・キタリッジ」(14)でエミー賞主演男優賞を受賞した。
ロードアイランド州のトリニティ・レパートリー・カンパニーに14年間在籍しており、芸術監督を4年間務めていた事もある。
プルマンは1983年、ニューヨークの劇場で役者として舞台に立つようになった。その後、映画デビューし、現在までに70作品以上の映画作品、複数のテレビドラマに出演している。印象的なのは、『殺したい女』(86)、『スペースボール』(87)、『ゾンビ伝説』『偶然の旅行者』(88)、『キャスパー』(95)、『17歳の処方箋』(02)などでの活躍だ。ロマンティックコメディでは『めぐり逢えたら』(93)、『あなたが寝てる間に…』(95)など、SFパニックでは『インデペンデンス・デイ』(96)、続編の『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(16)、スリラーでは『冷たい月を抱く女』(93)、西部劇では『ワイアット・アープ』(94)、『ヴァージニアン/落日の決闘』(00)、フィルム・ノワールでは『ロスト・ハイウェイ』(97)、ホラーでは『THE JUON/呪怨』(04)など、多彩なジャンルの作品に出演している。
ライナーは約30年前から現在まで、多彩なスタイルやジャンルの映画作品を次々と生みだし、その作品の数々は世界中の映画ファンに愛されてきた。架空のメタルバンドを追いかけたモキュメンタリ―『スパイナル・タップ』(84)、ロマンティックコメディ『恋人たちの予感』(89)、ミステリードラマ『ア・フュー・グッドメン』(92)では登場人物の心情や成長を巧みに描いた。
また、スティーヴン・キング原作の少年たちの青春を描いたヒューマンドラマ『スタンド・バイ・ミー』(86)、サスペンス『ミザリー』(90)の監督を手掛け、『スタンド・バイ・ミー』では全米監督協会賞の3部門、ゴールデングローブ賞、インディペンデント・スピリット賞にノミネートされた。以降、様々な作品で名誉ある賞にノミネートされる。
注目を浴びた監督作品に、『プリンセス・ブライド・ストーリー』(87)、『ノース/ちいさな旅人』(94)、『アメリカン・プレジデント』(95)、『ストーリー・オブ・ラブ』(99)、『あなたにも書ける恋愛小説』(03)、『迷い婚 -すべての迷える女性たちへ-』(05)、『最高の人生の見つけ方』(07)、『最高の人生のはじめ方』(12・未)、『最高の人生のつくり方』(14・未)、ライナー監督の息子の実体験を基にした『ビーイング・チャーリー』(15)などがある。
また監督や製作を手がけるだけでなく、俳優としても活躍している。役者としてのデビュー作は、父親のカール・ライナーが監督したコメディ「Enter Laughing」(日本・未)。今もなお、作品に出演し演技力を磨いている。俳優として参加した作品には、『めぐり逢えたら』(93)、『パーフェクト・カップル』(98)、『エドtv』(99)、マーティン・スコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)、『ブロードウェイと銃弾』(94)、『ハリウッド・ミューズ』(99)などがある。
マーコウィッツは、『ビーイング・チャーリー』(15)で、撮影監督としてロブ・ライナー作品に参加している。
撮影を担当した作品は、『マンハッタン恋愛事情』(97・未)、スコット・クーパー監督『クレイジー・ハート』(09)、『ミス・メドウズ ~悪魔なのか? 天使なのか?』(14・未)など。
25年以上、美術スタッフとして多種多様な映画作品に携わり、経験を積んだ。デミューリは、過去を舞台にした伝記ものから現代を舞台にしたドラマまで、300エピソード以上のテレビシリーズ、パイロット番組、M.O.W. 、ミニシリーズ、CM作品に携わっている。また、ダニー・ボイル監督の『127時間』(10)で美術監督組合賞にノミネートされた。
主な担当作品は、『キラー・トマト/赤いトマトソースの伝説』(91)、「女医」(95)、「Touched by an Angel」(94~03)、「ルール 封印された都市伝説」(05)、『アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗』(07)、『ニード・フォー・スピード』(14)など。
ニールは映画業界で最も有名なメイクアップ・アーティストの一人で、ヘアメイクの分野で数々の素晴らしい基準を作り上げてきた。アカデミー賞を3度(『ビートルジュース』(88)、『ミセス・ダウト』(93)、『エド・ウッド』(94))受賞した経験を持ち、『アメイジング・スパイダーマン』(12)、『ハンガー・ゲーム』シリーズ(12~15)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ3作(03・06・07)、『コンスタンティン』(05)、『ジョン・カーター』(12)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)などのヘアメイクを手掛けている。また、長期にわたってティム・バートン監督作品に参加しており、『ビートルジュース』から『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(07)まで数々の作品を手がけた。また、スティーヴン・スピルバーグ監督作『アミスタッド』(97)、『A.I.』(01)のメイクチームにも参加している。
    製作にあたって
 1960 年代のアメリカで活躍した人物を考えたとき、ロブ・ライナーは、政治家リンドン・B・ジョンソンの素顔を描いた映画を製作する、というアイディアにあまり自信がなかった。「ベトナム戦争時代、ジョンソンは悪魔かのように嫌われていた」と、ライナーは言う。「私が若いころ、ジョンソンは“ おい、LBJ、いったい何人の子どもたちを戦争で殺したんだ? ”という感じに批判されていた。しかし、わたしはベトナム戦争に派遣されなかった事もあり、彼に対して特に関心 がなかったんだ」。
  しかし、キャッスル・ロック・エンターテイメントの幹部である、リズ・グロッツァーに勧められ、ジョーイ・ハートストーンが書いた脚本を読むと、ライナーはこの36 代目の大統領に対して、新たな尊敬の念を抱きはじめた。「読んでみると、よく調査されて、面白く、それでいて洗練された脚本だと思った」ライナーはさらに続ける。「私がストーリーのなかで一番気に入っているのは、ジョンソンの新たな一面を見せてくれるところだ」。
    今回のプロジェクトが始まったきっかけは、製作のティモシー・ホワイトとトレヴァー・ホワイト兄弟だ。「ジョンソンは、副大統領になる前は議会でとても精力的に活躍していたのに、ケネディが暗殺される瞬間まで国政の主力から外されていた。大統領に就任してからも、ケネディの集めた閣僚や、ケネディを支持していた国民をどうやって説得するか、試行錯誤しなければならなかった」。トレヴァー・ホワイトが言った。「その時期のジョンソンの姿には、考えさせられる 事が多くあると思った」。
 2012 年の前半に、ティモシー・ホワイトとトレヴァー・ホワイトは、ハートストーンにプロジェクトの詳細を話し、参加を働きかけた。脚本を手がけたハートストーンは執筆以前のことを次のように振り返る。「調査を始める前は、ジョンソンの事をほとんど知らなかった。
 彼はいつも印象の薄い大統領だった。ジョンソンといえば、ベトナム戦争だったからね。それから、ケネディが人を惹きつけ、人の心を捉える魅力にあふれていたというのも、ジョンソンの印象の一因になっていると思う」。
  しかし、ハートストーンがジョンソンの視点からケネディが大統領だった時代について調査すると、自立したテキサス出身の政治家、そして共感できる人物としてのジョンソンが浮かび上がってきた。「見方によれば、ジョンソンはケネディよりも共感できる人物だと思った」ハートストーンが言った。「ケネディの集めた閣僚は、ありえないほど頭が切れて、カリスマ性のある人物ばかりだった。彼らの中心に居なければいけなくなったジョンソンに、共感するのは簡単だった。」
 ハートストーンの繊細な脚本は、ライナーのアイディアがひらめくきっかけとなった。立体感のあるLBJの姿を描いた作品を作る、そして、ジョンソンの驚くべき政治的力量と、抱えていた不安の両方を、公民権運動時代の、誰もが知る功績のなかに描きだそうと、ライナーは考えた。
  「この作品で、複雑な人物であるジョンソンを細やかに描きたかった」ライナーはさらに続けた。「ジョンソンは、テキサス出身の偉そうで、弱いものいじめが好きで、飼い犬の耳をひっぱって持ち上げる( 注1)ようなひどい人物というイメージがあったが、そうではなかった」
(注1) WEBサイト「HISTORY」(https://www.history.com/) 参照
    ジョンソン大統領になるまで
 ライナーが本作の製作にあたって最も興奮したのは、ウディ・ハレルソンがジョンソン役を承諾したときだった。「ウディ・ハレルソンは、アメリカで最高の俳優のひとりだ」と、ライナーは言う。「彼は人として、すばらしい人物だ。本作にどんなに荒削りな部分があったとしても、人間らしさをしっかりと感じる事ができるだろう。なぜなら、ウディ自身がとても良い人だからね」。
   ハレルソンは、テキサス出身で、本作以外でも賛否の分かれる実在の人物を『ラリー・フリント』(96) で演じており、そういった役を演じる事は他にはない挑戦だ、と語っている。「YouTube で検索して、どのくらい再現できているか確認する事のできる人物を演じるのは、重大な責任がある」、ハレルソンはさらにこう語った。「同時に、ものまねはしたくなかった。LBJという人物は、あまりにも魅力的で、難しい役だと思ったし、ものまねをする事も気が引けた。だから、 撮影前はすごく怖かったし、恐怖感を抑えるのに2 週間かかった。」
 しかし、ハレルソンはすぐに、そんな状況にもうまく対処していた。アイディアを出し、自ら調べものをして、LBJという人物の演じ方を深めていった。ハートストーンはこう語った。「脚本で、ジョンソンを実際よりほんの少し激しい性格にしたのは、ウディのアイディアだった。人種差別主義者に対しても、ケネディの支持者たちに対しても、本作のジョンソンは、さらに一歩踏み込んでいる。撮影中、ほとんど毎日、ウディはジョンソンの実際の発言や行動を調べて持ってきていた。そんな彼の姿は、見ていてすごく興味深かったよ」。
 アカデミー賞を三度受賞したヘア・メイクのヴィ・ニールは、特殊メイクの専門家であるアージェン・トゥイテンと共同でハレルソンのメイクを担当した。ジョンソン大統領は角ばった顎が特徴的な政治家であり、2 人はその特徴を見事に再現し、ハレルソンを変身させた。ハレルソンはこう言っている。「一番心配だったのは、明らかにメイクだと分かる顔で作品に出演する事だった。そういう作品はいくつもある。しっかり予算のある映画だってそうだ。そして、作品のなかに明らかにメイクだとわかる人を見つけると、観客はその時点で完全に冷めてしまう。でも、ヴィ・ニールの技術は本当に素晴らしかった」。
   ライナーは、繊細なニールとトゥイテンの技術を高く評価していた。「ウディの顔―耳、鼻、顎、髪などその他全ての部分がジョンソンになっただけではなく、ニールは特殊メイクの柔軟性も大切にしていた」とライナーは語った。「ウディは自然に顔をかく事だって、触る事だってできる。だから、見ていて特殊メイクだって事を忘れてしまうんだ」。
    歴史を再現する
 本作でプロダクションデザイナーを務めるクリストファー・R・デミューリは1960 年代当時を細部まで再現できるように、徹底的な下調べを行った。「ジョンソンがエアフォースワンの機内の中で大統領就任の宣誓を行う場面は、正確に再現しなければならなかった」デミューリはこう続ける。「僕らは、機内で宣誓するジョンソンの写真資料を見つけたけど、すべて白黒だった。座席やその他の部分を、本当に正しい色で再現できているのか、細心の注意を払う必要があった」。
 幸い、ボーイングVC-137C U、またの名をSAM 26000 の現物は、今も存在していた。「機体は、ジョンソンが大統領を退いたあとも、何度か修理され、使用されていたようだ」とデミューリは語った。デミューリは、調べるうちに恐ろしい真実を探り当てていた。1963 年11 月22 日、ケネディが暗殺されるなんて誰ひとり考えもしなかった。その為、ダラスでケネディが暗殺された後、棺がエアフォースワンに入りきらないという事態が発生した。「写真を見ると、隔壁の一部を 切り取って、棺を入れるスペースをつくらなければならなかった、という事が分かる。本作のセットには、このシーンの壁にのこぎりで切ったあとをつけたんだ。そういう細かい部分に注意を払う事が、この作品にとってものすごく重要なんだ」。
    絡み合った遺志をほどく
 ライナーは、本作がジョンソン政権を再評価する機会になれば、と考えている。「私も年を取ったから、政治の問題に多くの時間を費やしている。物事を成し遂げるために必要な事を、理解できるようになった。以前よりも、ジョンソンは素晴らしい人物だと思っているよ」
 ジェフリー・ドノヴァンは、本作で描かれているのは、アメリカ史の中の、魅力的だがほろ苦い皮肉に支えられた時代だ、と話している。「この作品は覆いを剥がし、ジョンソンが実際に経験した事を見せてくれる。ジョンソンは、アメリカでの最高の地位を望んでいたけど、その地位に就く事ができたのは、最大の悲劇が起こったからだった」。
 ウディ・ハレルソンは、複雑に絡み合ったジョンソンの遺志を考え続ける、と語った。「LBJという人物が、善人なのか悪人なのか判断する事すらできない。つまり、彼の何をみて判断すればいいのか分からないんだ。例えば、ベトナム戦争の事を考えると、彼は悪人だ。だが、ヘッド・スタート・プログラム( 注2) や、公民権運動、投票権法など、ジョンソンは数々の功績を残している。ベトナム戦争がなかったら、ジョンソンは最高の大統領の一人として尊敬されていたかもしれない」。
(注2)リンドン・べインズ・ジョンソン大統領政権下で進められた貧困対策に関する政策。
3 才から4 才の子どもを持つ低所得者層を対象に就学援助の機会と支援を行う取り組み。(「偉大なる社会」リンドン・B・ジョンソン著/平泉 渉訳(鹿島研究所出版会))
エリア 劇場名 お問い合わせ 前売 公開時期
東京 シネマカリテ 03-3352-5645 上映終了
エリア 劇場名 お問い合わせ 前売 公開時期
北海道 ディノスシネマズ札幌劇場 011-221-3802   上映終了
エリア 劇場名 お問い合わせ 前売 公開時期
青森 フォーラム八戸 0178-38-0035   上映終了
宮城 フォーラム仙台 022-728-7866   上映終了
山形 フォーラム山形 023-647-0647   12/7~
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神奈川 小田原コロナシネマワールド 0465-45-5688   上映終了
千葉 キネマ旬報シアター 04-7141-7238   上映終了
静岡 シネプラザサントムーン 055-983-1800   上映終了
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愛知 センチュリーシネマ 052-264-8580   上映終了
愛知 半田コロナシネマワールド 0569-22-2662   上映終了
岐阜 大垣コロナシネマワールド 0584-73-0567   上映終了
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大阪 シネ・リーブル梅田 06-6440-5930   上映終了
兵庫 シネ・リーブル神戸 078-334-2126   上映終了
  塚口サンサン劇場 06-6429-3581   上映終了
京都 京都シネマ 075-353-4723   上映終了
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岡山 シネマクレール 086-231-0019   上映終了
愛媛 シネマ・ルナティック 089-933-9240   上映終了
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福岡 KBCシネマ 092-751-4268   上映終了
  大川シネマホール 0944-85-8002   上映終了
長崎 長崎セントラル劇場 095-823-0900   上映終了
沖縄 桜坂劇場 098-860-9555   上映終了